2023-05

百人一首

みかきもり衛士のたく火の夜はもえ昼は消えつつ物をこそ思へ

宮中の御門を守る御垣守(みかきもり)である衛士(えじ)の燃やす篝火が、夜は燃えて昼は消えているように、私の心も夜は恋の炎に身を焦がし、昼は消えいるように物思いにふけり、毎日のように思いわずらっていることだ。
随筆

天王山の水底

雨がたくさん降った次の日、私は彼女と一緒に天王山に登った。天王山は京都府南部に位置し、南北朝や応仁の乱では戦略上の要地となり、また織田信長を討った明智光秀とその仇討ちを果たそうとする羽柴秀吉が戦った山崎の戦いなど、いわゆる「天下の分け目」の...