百人一首

百人一首

ちはやぶる神代もきかず龍田川から紅に水くくるとは

神々が国を治めた太古の昔である神代でさえも、聞いたことがない。龍田川が(一面に紅葉が浮いて)あざやかな紅色に、水をくくり染めにしているとは。
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たち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む

お別れして因幡の国に行きますが、因幡の稲羽山の峰に生えている松の木のように、あなたが待っていると聞いたならば、すぐに帰ってこよう。
百人一首

君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ

君がため 春の野に出(い)でて 若菜摘む わが衣手(ころもで)に 雪は降りつつ光孝天皇(こうこうてんのう)百人一首の15番目の歌です。若菜摘みの情景を伝えて、自分の思いの深さを表現している。 語句 *君がため・・・若菜を贈る相手。*若菜摘む...
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みちのくのしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに

みちのくの信夫の里に産する「しのぶ摺り」という染物の乱れた模様のように、私の心は気持ちを抑えて乱れています。これは誰のせいでそうなったのか、私のせいではなく、あなたのせいですよ。
百人一首

筑波嶺の峰より落つるみなの川恋ぞ積もりて淵となりぬる

百人一首の13番目の歌です。 長年の恋心を詠んだ歌。
百人一首

天つ風雲の通ひ路吹き閉ぢよ乙女の姿しばしとどめむ

大空に吹く風よ、天女たちが通るという天と地をつなぐ道を閉ざしてくれ。天女のように美しいこの舞姫たちをしばらくとどめたいのだ。
百人一首

わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣舟

百人一首の11番目の歌です。 作者が隠岐へ流される時に作り、京の宮廷の人々に送った歌。 
百人一首

これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関

これがあの、東国に行く人も東国から帰る人もここで逢ったり別れたり、知っている人も知らない人もここで逢うという逢坂の関なんだなあ。
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花の色は移りにけりないたずらにわが身世にふるながめせし間に

*花・・・ここでは桜。古典で花といえば桜のこと。 *花の色・・・「桜の花の色」と「女性の若さや美しさ」も表されている。 *移りにけりな・・・「移る」は「色あせる、変わる」の意。「けり」は過去の助動詞。「な」は詠嘆の終助詞。よって2句切れになる。 *いたずらに・・・無駄に、むなしく *世にふる・・・「世」は「世代」と「男女の仲」の掛詞。「ふる」も「経る(ふる)」の「時が経つ」と「降る」の掛詞。「ずっと降り続く雨」と「年を取っていく私」の2つの意味がある。 *ながめ・・・「眺め」と「長雨」の掛詞。
百人一首

わが庵は都の辰巳しかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり

百人一首の8番目の歌です。 隠遁生活に満足している心境を詠んだ歌。