花の色は移りにけりないたずらにわが身世にふるながめせし間に

百人一首


花の色は 移りにけりな いたずらに わが身世にふる ながめせし間に
小野小町(おののこまち)

百人一首の9番目の歌です。

語句

*花・・・ここでは桜。古典で花といえば桜のこと。
*花の色・・・「桜の花の色」と「女性の若さや美しさ」も表されている。
*移りにけりな・・・「移る」は「色あせる、変わる」の意。「けり」は過去の助動詞。「な」は詠嘆の終助詞。よって2句切れになる。
*いたずらに・・・無駄に、むなしく
*世にふる・・・「世」は「世代」と「男女の仲」の掛詞。「ふる」も「経る(ふる)」の「時が経つ」と「降る」の掛詞。「ずっと降り続く雨」と「年を取っていく私」の2つの意味がある。
*ながめ・・・「眺め」と「長雨」の掛詞。

歌意


桜の花の色は衰えてしまったなあ、春の長雨が降っている間に。それと同じように私の容姿も衰えてしまったなあ、むなしく恋や世間のもろもろのことに思い悩んでいるうちに。

作者

小野小町 (おののこまち。生没年未詳、9世紀ごろ)

六歌仙、三十六歌仙の一人。絶世の美女として七小町など数々の逸話があり、後世に能や浄瑠璃などの題材としても使われている。小野篁(おののたかむら)の孫であるなどの諸説があるが、正確な経歴は分かっていない。土地の美人のことを「××小町」などと言う。
「六歌仙」とは、平安時代初めの和歌の名手たちを6人選んだもので、在原業平、僧正遷昭、喜撰法師、大友黒主、文屋康秀、小野小町のことを言う。

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