百人一首

誰をかも知る人にせむ高砂の松も昔の友ならなくに

いったい誰を昔なじみの親しい友人としようか。そんな者はどこにもいない。長寿で有名な高砂の松も、昔からの友人ではないのだから。
随筆

ノートのおくりもの

朝起きて頭に思い付いたことを書き記す「モーニングページ」を始めてから、もうすぐ2年がたつ。モーニングページとは作家であり、ディレクターでもあるJulia Cameron(ジュリア・キャメロン)の著書「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」...
百人一首

ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ

こんなに陽の光がのどかに降り注いでいる春の日なのに、どうして桜の花は落ち着いた心がなく散っていってしまうのだろうか。
百人一首

山川に風のかけたるしがらみは流れもあへぬ紅葉なりけり

山中を流れる小川に、風が架けた美しい流れ止めの柵(しがらみ)は、流れきらずに残っていたたくさんの紅葉の葉でした。
随筆

奥行きのある世界で

スタンフォード大学心理学教授のキャロル・S・ドゥエック博士の著書「Mindset」には、2つの心構えが紹介されている。「fixed mindset(硬直マインドセット)」と「growth mindset(しなやかマインドセット)」だ。一つ目...
百人一首

朝ぼらけ有明の月と見るまでに吉野の里に降れる白雪

夜がほんのりと明けて、物がほのかに見える頃、有明の月かと思うほど明るく、吉野の里に降った白雪である。
百人一首

有明のつれなく見えし別れより暁ばかり憂きものはなし

有明の月は冷ややかでつれなく見えた。冷たく薄情に思えた別れの時から、私には夜明け前の暁ほど辛くて憂鬱に感じる時はないのだ。
百人一首

心あてに折らばや折らむ初霜の置きまどはせる白菊の花

もし折るとするならば、あてずっぽうに折ってみようか。 初霜が降りて一面が真っ白になっており、見分けにくくなっている白菊の花を。
百人一首

山里は冬ぞ寂しさまさりける人目も草も枯れぬと思へば

山里は(つねに寂しいものだが、)特に冬が寂しさが強く感じられる。人の訪れが途絶え、草も枯れてしまうと思うと。
随筆

外側のない世界で

私が大学時代に専攻していたのは哲学であった。17世紀ドイツの哲学者ライプニッツに興味を持ち、研究をしていた。ライプニッツは哲学者であるだけでなく、数学、法学、歴史学、神学、物理学などさまざまな分野で活躍した人物であり、政治家で、外交官でもあった。微分積分と聞いたら数学が苦手であった人間は嫌な顔をしてしまうが、その方法を確立したのもライプニッツであった。そのような彼の学問の中で、私は哲学、特に「モナドロジー」という著書を研究した。その中でも「共可能性」という概念が、私の心をとらえて、現在に至るまで影響を与え続けている。