百人一首

白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける

草の葉の上に乗って光っている露の玉に、風がしきりに吹きつける秋の野原は、まるで紐に通して留めていない真珠が、美しく散り乱れて吹き飛んでいるようではないか。
随筆

植物とともに

ワンルームマンションのベランダで植物を育てている。ちまたでは、庭で植物を育てる人「ガーデナー」に対して、ベランダで植物を育てる人を「ベランダー」というようだ。令和3年の4月に初めて盆栽を買った。それまでは観葉植物を3つほど持っていただけであ...
百人一首

夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月宿るらん

とりわけ夏の夜は短いので、まだ宵のうちだなあと思っていたら、もう明けてしまった。月も西の空に沈むひまなどないはずだ、いったい雲のどこのあたりに宿をとっているのだろうか。
随筆

新緑の中で

新緑が眩しい4月の終わり、午後の眠気を感じながら、少しソワソワしていた。風はなく穏やかな日だ。参拝者はまばらで、仕事はそんなに忙しくない。ゆっくりとした時間が流れているが、私は気になっていた。午後の1時から地元の高校1年生が300名近くやっ...
百人一首

人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香に匂ひける

さてどうでしょうね。人の心は分からないけれど、昔なじみのこの里では、梅の花だけがかつてと同じいい香りをただよわせていますよ。
随筆

関係性の存在論と現実と認識のズレ

大学時代は哲学を専攻していた。ライプニッツのモナドロジー。存在論といったらいいのだろうか、この世で物はどんなふうに存在しているのかという哲学だ。一般には、人がいて、ものがある、それぞれが別々に存在している、という考えが普通だろう。
百人一首

誰をかも知る人にせむ高砂の松も昔の友ならなくに

いったい誰を昔なじみの親しい友人としようか。そんな者はどこにもいない。長寿で有名な高砂の松も、昔からの友人ではないのだから。
随筆

ノートのおくりもの

朝起きて頭に思い付いたことを書き記す「モーニングページ」を始めてから、もうすぐ2年がたつ。モーニングページとは作家であり、ディレクターでもあるJulia Cameron(ジュリア・キャメロン)の著書「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」...
百人一首

ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ

こんなに陽の光がのどかに降り注いでいる春の日なのに、どうして桜の花は落ち着いた心がなく散っていってしまうのだろうか。
百人一首

山川に風のかけたるしがらみは流れもあへぬ紅葉なりけり

山中を流れる小川に、風が架けた美しい流れ止めの柵(しがらみ)は、流れきらずに残っていたたくさんの紅葉の葉でした。