百人一首

百人一首

めぐり逢ひて見しやそれともわかぬ間に雲がくれにし夜半の月かな

せっかく久しぶりにめぐり逢えたのに、あなたなのかどうかも分からないほどの短い時間であっという間に帰ってしまわれました。まるで、雲隠れしてしまった夜中の月のようでしたね。
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あらざらむこの世のほかの思ひ出に今ひとたびの逢うこともがな

わたしはもうすぐ死んでしまうでしょう。あの世への思い出として、もう一度だけあなたにお会いしたいものです。
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滝の音は絶えて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞こえけれ

滝の流れ落ちる音が聞こえなくなってずいぶん経つけれど、その名声だけは世間に流れ伝わって、今でも人々の口から聞こえていることだよ。
百人一首

忘れじの行末まではかたければ今日を限りの命ともがな

「いつまでも忘れまい」というあなたの言葉が、遠い将来まで変わらないというのは難しいでしょう。だから、その言葉を聞いた今日を限りに命が尽きてしまえばいいのに。
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嘆きつつひとりぬる夜の明くるまはいかに久しきものとかは知る

あなたが来てくださらないことを嘆き哀しみながら、一人で孤独に寝ている夜が明けるまでの時間がどれだけ長いかご存じでしょうか。あなたはご存じないでしょうね。
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明けぬれば暮るるものとは知りながらなほ恨めしき朝ぼらけかな

夜が明けたらいずれ日は暮れる、(そして、あなたに逢える)とは分かっているのですが、それでもなお恨めしい(あなたと分かれる)夜明けだなあ。
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かくとだにえはやいぶきのさしも草尺も知らじな燃ゆる思ひを

こんなにも貴方を思っていることを、口に出して言うことができるでしょうか。ましてや伊吹山の(燃えるような)さしも草ではないけれども、私の想いがそれほど(燃えるように映るさしも草ほど)までに激しく燃えていると、あなたはご存じないでしょう。
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君がため惜しからざりし命さえ長くもがなと思ひけるかな

あなたに会うためなら惜しいとは思わなかった私の命ですが、こうしてあなたと会うことができた今は、いつまでも生きていたいと思っています。
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みかきもり衛士のたく火の夜はもえ昼は消えつつ物をこそ思へ

宮中の御門を守る御垣守(みかきもり)である衛士(えじ)の燃やす篝火が、夜は燃えて昼は消えているように、私の心も夜は恋の炎に身を焦がし、昼は消えいるように物思いにふけり、毎日のように思いわずらっていることだ。
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風をいたみ岩うつ波のおのれのみ砕けてものを思ふころかな

風が激しく吹き、岩に打ち寄せる波が自分だけ砕けて散るように、私の心は千々に砕けてしまって、どうしてよいのか思い悩むこの頃なのです。