百人一首

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八重葎しげれる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり

幾重にもつる草が生い茂っている荒れ寂れた宿は寂しく、人は誰も訪ねてこないが、それでも秋はやってくるのだなあ。
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由良の門を渡る舟人かぢを絶え行方も知らぬ恋の道かな

由良川の(流れが速い)河口の瀬戸を渡る船頭が、櫂がなくなって行方もしらず漂うように、どうなるかわからない恋の道であることよ。
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あはれともいふべき人は思ほえで身のいたづらになりぬべきかな

私のことを哀れだといってくれるはずの人は他には誰も思い浮かばないまま、きっと私はむなしく死んでしまうのだろうな。
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逢ふことの絶えてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし

もし逢うことが絶対にないのならば、かえってあの人のつれなさも、我が身の辛い運命も恨まなくて済むのに。
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あひ見ての後の心にくらぶれば昔は物を思はざりけり

あなたにお逢いして契りを結んでから後の恋しい心に比べると、昔は何の恋煩いもしなかったと同じくらい、取るに足らないものであったなあ。
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契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波越さじとは

契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波越さじとは
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恋すてふ我名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひそめしか

私が恋をしているという評判は、早くも広まってしまった。 誰にも知られないように、心ひそかに恋をしはじめたばかりだったのに。
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忍ぶれど色にいでにけり我恋は物や思ふと人の問ふまで

忍(しの)ぶれど 色にいでにけり 我恋は 物や思ふと 人の問ふまで平兼盛(たいらのかねもり)百人一首の40番目の歌です。 語句 *しのぶれど・・・「しのぶ」は、バ行上二段活用動詞「忍ぶ」の已然形で「耐える・我慢する」の意。「ど」は、逆接の確...
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浅茅生の小野の篠原忍ぶれどあまりてなどか人の恋しき

まばらに茅が生えている小野の篠原の「しの」のようにあなたへの思いを忍び耐えているけれども、 こらえきれない。どうしてあの人のことが、どうしようもなく恋しいのだろう。
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忘らるる身をば思はずちかひてし人の命の惜しくもあるかな

あなたに忘れ去られる私自身のことは何とも思わない。 けれど、いつまでも私を愛すると永遠の愛を神に誓ったあなたの命が、 誓いを破った罰を受けて失われることが惜しく思われてなりません。