かささぎの渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更けにける

百人一首


かささぎの 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける

中納言家持(ちゅうなごん やかもち)大伴家持(おおともの やかもち)


百人一首の6番目の歌です。

語句

*かささぎ・・・鳥綱スズメ目カラス科に分類される鳥。黒いカラスに比べてひと回り小ぶりで、胸とお腹の白い鳥。鳴き声が「カチカチ」ということから「カチガラス」とも呼ばれている。

*かささぎの渡せる橋・・・天の川に渡している橋。

*夜ぞ更けにける・・・係助詞「ぞ」の係り結びで詠嘆の助動詞「ける」は連体形になっている

歌意

かささぎが天の川に渡している橋のような宮中の御階(みはし)の上に降りている霜が、白く輝いているのを見ると、夜も更けてしまったのだなあと思う。

作者

中納言家持・大伴家持(ちゅうなごんやかもち・おおとものやかもち)
718年〜785年。三十六歌仙の一人。奈良時代の公卿・歌人。大伴旅人の子。長歌・短歌など合計473首が『万葉集』に収められており、『万葉集』全体の1割を超えていることから、万葉集の編者とされている。微妙な心情を描写や憂いを含んだ感傷的な歌風は次代の和歌への過渡期を感じさせる。太平洋戦争中に玉砕を報せる大本営発表の前奏曲として流れた「海ゆかば」は、家持の「賀陸奥国出金詔書歌」に拠る。

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