風をいたみ岩うつ波のおのれのみ砕けてものを思ふころかな

百人一首

風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ 砕けてものを 思ふころかな
源重之(みなもとのしげゆき)

百人一首の48番目の歌です。

語句

*風をいたみ・・・「いたし」は「はなはだしい」という意味の形容詞。
「…(を)+形容詞の語幹+み」は、原因・理由の表現。
「風が強いので」の意。
*岩うつ波の・・・ここまでが序詞。
「の」は、比喩を表す格助詞。
*砕けて・・・「くだけ」は下二段活用の自動詞「くだく」の連用形。
微動だにしない岩にぶつかって砕ける波の様子と、振り向いてくれない女性に対して思いを砕く自分、これらが重ねられている。
*ものを思ふころかな・・・「どうしてよいのか思い悩むこの頃なのです」の意。

歌意

風が激しく吹き、岩に打ち寄せる波が自分だけ砕けて散るように、私の心は千々に砕けてしまって、どうしてよいのか思い悩むこの頃なのです。

作者

源重之
(みなもとのしげゆき)
生年不祥~1003年頃。
清和天皇の曾孫(ひまご)で三十六歌仙の一人。
冷泉天皇の時代に活躍し、天皇の東宮時代に帯刀先生(たちはきのせんじょう)、即位後は右近将監から相模権守(さがみのごんのかみ)に出世した。
官位は従五位下・筑前権守で、地方官を歴任した。

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