浅茅生(あさぢふ)の 小野(おの)の篠原(しのはら)忍(しの)ぶれど あまりてなどか 人の恋(こひ)しき
参議等(さんぎひとし)
百人一首の39番目の歌です。
語句
*浅茅生(あさぢふ)の・・・「浅茅(あさぢ)」は、まばらに生えている茅(ちがや)。
一面に生えた、丈の低いチガヤ。
「生(ふ)」は「生えている場所」の意。浅茅の生えている所。荒れた場所。
「小野」にかかる枕詞。
*小野の・・・「小」は接頭語。「小野」は「野原」の意。
*篠原・・・「篠」細くて小さい竹の総称。はメダケ・ヤダケなどをさし、矢などをつくる。篠竹。
「篠原」は「篠竹」の生えている原っぱ。
ここまでが序詞で「忍ぶれど…」に掛かる。
*忍ぶれど・・・「忍ぶれ」は、上二段活用動詞「忍ぶ」の已然形。「じっとこらえる。じっと我慢する」の意。
「ど」は逆接の接続助詞。已然形接続。
*あまりてなどか・・・「あまりて」は、多すぎてあふれる状態を表す。
「など」は、疑問を表す副詞。「どうして~だろうか」の意。
「か」は、疑問の係助詞。
「忍ぶ心をがまんできないで」の意。
*人の恋しき・・・「の」は格助詞。「人」が主語である。
「人」は、恋の対象となる女性。
「恋しき」は形容詞「恋し」の連体形。「などか」の「か」を受けた係り結びであるため連体形。
歌意
まばらに茅が生えている小野の篠原の「しの」のようにあなたへの思いを忍び耐えているけれども、こらえきれない。どうしてあの人のことが、どうしようもなく恋しいのだろう。
作者
参議等(さんぎひとし。880~951)
源等(みなもとのひとし)。
嵯峨(さが)天皇のひ孫で、中納言源希(みなもとののぞむ)の子。
平安時代中期の歌人で、公卿であった。
近江権少掾(おうみのごんのしょうじょう)から左中弁、右大弁などを歴任し、947年に参議になった。そのため小倉百人一首では参議等と称されている。
コメント