忍ぶれど色にいでにけり我恋は物や思ふと人の問ふまで

百人一首

忍(しの)ぶれど 色にいでにけり 我恋は 物や思ふと 人の問ふまで
平兼盛(たいらのかねもり)

百人一首の40番目の歌です。

語句

*しのぶれど・・・「しのぶ」は、バ行上二段活用動詞「忍ぶ」の已然形で「耐える・我慢する」の意。
「ど」は、逆接の確定条件の接続助詞。
全体で「人に知られないよう心に秘めてきたけど」の意。
*色に出でにけり・・・「色」は表情。
「出で」は、ダ行下二段の動詞「出づ」の連用形。
「色に出づ」で恋愛感情が顔つきに出ることの意。
「けり」は感動の助動詞で、恋心が顔に出てしまっていることを人に言われてはじめて気が付いたことを表している。
*ものや思ふ・・・「思ふ」は、ハ行四段の動詞「思ふ」の連体形。「や」の係結び。
「もの思ふ」で、恋について想いわずらうことの意。
「や」は疑問の係助詞。
*人の問うまで・・・他人が尋ねるほどに、の意。
「ものや思ふ」のかかる倒置法。

歌意

私の恋心は、他人には気づかれないように忍びこらえていたけれど、顔や表情に出てしまっていたようだ。「恋のもの思いでもしているのですか?」と、人に尋ねられるほどまでに。

作者

平兼盛(たいらのかねもり。?~990)
光孝天皇の子孫(やしゃご)として生まれるが、その家柄に比べて官位が低い人物で従五位上・駿河守であった。篤行王の息子
後撰集の頃の代表的歌人。
赤染衛門の父という説もある。
三十六歌仙の一人。

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