随筆

つながり

神職には定期的に研修というものがある。神職としての教養や技能を高めるために講義や指導を受けるのである。私のようにまだまだ修行中の神職は研修で学び、その能力を伸ばさなければならない。先日は雅楽研修会というものがあった。1000年以上昔から日本...
百人一首

浅茅生の小野の篠原忍ぶれどあまりてなどか人の恋しき

まばらに茅が生えている小野の篠原の「しの」のようにあなたへの思いを忍び耐えているけれども、 こらえきれない。どうしてあの人のことが、どうしようもなく恋しいのだろう。
随筆

感情を選択する

感情に関する記述で面白いものを見つけた。佐渡島庸平著「観察力の鍛え方」には、「感情とは、勝手に自分のところにやってくるものではない」とし、「自分でその感情を選んでいることに意識する必要がある。」と述べられている。我々の認識では、感情とは、普...
百人一首

忘らるる身をば思はずちかひてし人の命の惜しくもあるかな

あなたに忘れ去られる私自身のことは何とも思わない。 けれど、いつまでも私を愛すると永遠の愛を神に誓ったあなたの命が、 誓いを破った罰を受けて失われることが惜しく思われてなりません。
百人一首

白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける

草の葉の上に乗って光っている露の玉に、風がしきりに吹きつける秋の野原は、まるで紐に通して留めていない真珠が、美しく散り乱れて吹き飛んでいるようではないか。
随筆

植物とともに

ワンルームマンションのベランダで植物を育てている。ちまたでは、庭で植物を育てる人「ガーデナー」に対して、ベランダで植物を育てる人を「ベランダー」というようだ。令和3年の4月に初めて盆栽を買った。それまでは観葉植物を3つほど持っていただけであ...
百人一首

夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月宿るらん

とりわけ夏の夜は短いので、 まだ宵のうちだなあと思っていたら、もう明けてしまった。 月も西の空に沈むひまなどないはずだ、いったい雲のどこのあたりに宿をとっているのだろうか。
随筆

新緑の中で

新緑が眩しい4月の終わり、午後の眠気を感じながら、少しソワソワしていた。風はなく穏やかな日だ。参拝者はまばらで、仕事はそんなに忙しくない。ゆっくりとした時間が流れているが、私は気になっていた。午後の1時から地元の高校1年生が300名近くやっ...
百人一首

人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香に匂ひける

さてどうでしょうね。人の心は分からないけれど、昔なじみのこの里では、梅の花だけがかつてと同じいい香りをただよわせていますよ。
随筆

関係性の存在論と現実と認識のズレ

大学時代は哲学を専攻していた。ライプニッツのモナドロジー。存在論といったらいいのだろうか、この世で物はどんなふうに存在しているのかという哲学だ。一般には、人がいて、ものがある、それぞれが別々に存在している、という考えが普通だろう。