神社の起こり

神道

社殿がない頃

今日、神社では、神様は社殿に祀られているのが一般です。
しかし、古くは、年に数回の祭りのたびに、神聖視される山や森や川辺で、
特定の木に神々を招く形で行われていました。

特定の木は、神籬(ひもろぎ)。特定の岩は、磐座(いわくら)と言います。

神を招くことを降神(こうしん)といい、
またその神にお帰りいただくことを昇神(しょうしん)と言います。

神籬 ひもろぎ

神籬とは、臨時に設けられる祭祀の施設です。
周囲にしめ縄を張り巡らし、中央に榊(さかき)という常緑樹を立て、
これに御幣(ごへい)をつけて神の依代(よりしろ)としたものです。

御幣とは、榊につける飾りのようなもの。古くは、神に捧げるものであったが、装飾具や祓具として使われるようになったもの。

依代とは、お招きした神様が宿られるものや、人の場合もあります。神籬や磐座も依代の一種です。

特殊な神木を神籬をとしたらしい神社の例として、
椋下神社
甘樫坐神社
櫟本神社
樟本神社
などがあります。

磐座 いわくら

磐座とは、神を招いて祭りをした石のことで、
大きさや形は様々であるが、特徴的なものが多く見られます。

磐座に神を迎えたとされる神社として、
岩座神社
磐座神社
天乃岩立神社
石神山精神社
などがあります。

降神 こうしん 昇神 しょうしん

降神とは祭りを行う際に神を招くこと言います。
また昇神とは、その神様にお帰りいただくことを言います。

これには作法があります。
祭場に神籬などの依代(よりしろ、神が一時的に宿るもの)を設け、祝詞を奏上し警蹕(けいひつ、「おー」という声)が発せられ、神の降臨が願われます。
祭祀が終わると、同様に祝詞を奏上し警蹕が発せられ、その帰去が願われます。

地鎮祭

現在では、ほとんどの神社では社殿があるため、降神などの神事は見られませんが、
身近なものとして、地鎮祭があります。
地鎮祭とは、建物を新築する際に、土地の神々に工事の安全やその後の幸せを祈願する祭祀です。
この時は、もちろん社殿がありませんので、そこに神籬を用意し降神をして、神々をお招きします。

社殿の出現

これらの祭りは野外で行われていましたから、やがて風や雨などから祭場を守るために屋根や小屋が常設されるようになり、
これがもととなって神も社殿に祀られるようになったと考えられます。

「ヤシロ」

神社のことを、「ヤシロ」ということがあります。
この語源については、「屋の代わり」という説もありますが、
一般的には、「屋を建てる場所」というのが支持されています。

苗を育てる場所は「苗代(なえしろ)」
網を干す場所は「網代(あみしろ)」
のりを塗る場所は「のりしろ」
これから成長できる人を「伸びしろ」があるなどというように、

「屋を建てる場所」をいうと思われます。

社殿を持たなかった神社 春日大社 大原野神社

伊勢の神宮や出雲大社は、早くから社殿がありましたが、社殿を持たなかった例として、春日大社があげられます。

春日大社は、和銅2年(709)に創建されましたが、社殿が作られたのは神護景雲2年(768)で、59年の間、社殿がなく、ヤシロ、すなわち、祭祀をする場所があっただけなのでした。

同様に、春日大社の第1番目の分社である大原野神社も、延暦3年(784)に創建され、社殿が造営されたのは、66年後の嘉祥3年(850)でした。

まとめ

最初は社殿を設けず、自然物などを依代に神をお祀りしていた段階から、
常設の建物の建設や管理が、現在のような神社へと発展してきました。

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