自分自身をコントロールする有効な方法が紹介されている本書の
エッセンスを少し紹介します。
セルフトークとは
セルフトークというのは、「ひとり言」という解釈でいいみたいですが、
「ひとり言」の中でも「特別なひとり言」を言います。
人間の感情や行動を左右する「特別なひとり言」です。
ここに引用したように、「人間の感情や行動を左右する」ひとり言のことを
セルフトークと言います。
本書の中では、例えが挙げられています。
とある大変仕事のできる部長さんが、
期限を守らなかった部下に対して「大爆発」をおこしてしまう。
その時、この部長さんの内部では次のようなことが起こっている。
1、まず、「許せない」というささやきが自分の中に生まれる。
2、そうすると、視野が急に狭くなり、目の前の部下がクローズアップされ、
他の誰も見えなくなってましう。
3、胸の辺りが圧迫され、息が詰まる。
4、大爆発!
しかし、同じ部長さんでも相手が息子の場合では、
違うことが内部で起きていました。
1、まず、「何があったんだろう」って思う。
2、息子が部屋や教室にいるときの様子がなんとなく浮かぶ。
3、落ち着いた口調で「どうしたの?」と聞く。
そこで、期限を守れなかった部下に対しても、
「許せない」ではなく、「何があったんだろう?」と言ってみることにしたら
「大爆発」が無くなったそうです。
つまり、「許せない」と「何があったんだろう?」
これらが、「感情や行動を左右する特別なひとり言」
セルフトークです。
つまり、セルフトークとは、感情や欲求、思考、行動の引き金として、自分の中に生まれる「言葉」ということになります。
2つのセルフトーク
セルフトークは2種類あります。
1、セルフトークA 反応
2、セルフトークB 対応
セルフトークA
「感情」を呼び起こし、「反応」としての行動を導くセルフトークです。
ポジティブなものと、ネガティブなものがありますが、ポジティブなものに害はないので、
ネガティブなものを「セルフトークA」と呼び、認識します。
先ほどの部長さんの「許せない」は、セルフトークAということになります。
セルフトークB
「理性」を呼び起こし、「対応」としての行動を導くセルフトークです。
先ほどの部長さんの「何があったんだろう?」は、セルフトークBということになります。
こちらのセルフトークBをどう利用するかが、
セルフトーク・マネジメントのポイントになります。
セルフトークはなぜ生まれるのか
「自分はこうあるべきだ」とか「他人からこのように見られたい」というアイデンティティを守るために、セルフトークは生まれます。
例として移籍直後のプロ野球選手が挙げられています。
彼らはたいてい、「自分はヒットを打てる、チャンスに優れた選手だ」というようなアイデンティティをもっているわけです。そのアイデンティティが何かのきっかけで揺らいでしまうと、元の強さを取り戻そうとして、多くのセルフトークが生まれる。結果、そのセルフトークが雑念となってパフォーマンスが下がり、もっとアイデンティティが危うくなる。そしてさらにセルフトークが生まれてしまう・・・というわけです。
セルフトークを「変える」
感情を呼び起こし反応的な行動を導くセルフトークAを生まれるままにしておくと、自分をコントロールできなくなってしまいます。
その状態がアイデンティティを危うくし、セルフトークAがまた生まれるという悪循環に陥ってしまいます。
例えば大勢の前でのスピーチを控え緊張している時、
「こんなに人がいるならもっと練習してくればよかった」
「失敗したらみっともない」
「不安だ・・・紙を見ながらスピーチしようかな・・・」
この状況を変えるためにはセルフトークを「変える」ということをします。
具体的には
1、まず、自分がネガティブな状態にあること、その状態の原因であるセルフトークAを認識する。
2、そして、そのセルフトークAをセルフトークBに置き換え、理性による対応としての行動に戻す。
では、どのようにセルフトークAをセルフトークBに変えるのか。
本書で紹介されている方法の中の一つを紹介します。
肯定質問・自責の質問
状況に対して、肯定的で、なおかつ全ては自分次第で変えることができるという自責の質問をしていきます。
例えば、
会議に参加している。
セルフトークA
「この忙しい時期に、なんで会議ばかりなんだ?」
肯定的質問
「この会議を建設的なものにするためには、何ができるだろう?」
自責の質問
「会議自体は変えられないとしても、少なくとも自分がこの会議の時間中にストレスを感じないためには何ができるだろう?」
このような質問を自分に対して投げかけることによって、セルフトークAをセルフトークBにかえて、自己をコントロールしていきます。
完全に集中した状態
セルフトークをコントロールすることで、「ゾーン」や「フロー」という言葉で表される「完全に集中した状態」に入ることができます。
それには、セルフトークAをセルフトークBに変え、さらに「使い」「減らし」「なくす」ことをします。
本書にはその具体的な方法が解説されていますので、ぜひ手にとって読んでみてください。
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