随筆

随筆

奥行きのある世界で

スタンフォード大学心理学教授のキャロル・S・ドゥエック博士の著書「Mindset」には、2つの心構えが紹介されている。「fixed mindset(硬直マインドセット)」と「growth mindset(しなやかマインドセット)」だ。一つ目...
随筆

外側のない世界で

私が大学時代に専攻していたのは哲学であった。17世紀ドイツの哲学者ライプニッツに興味を持ち、研究をしていた。ライプニッツは哲学者であるだけでなく、数学、法学、歴史学、神学、物理学などさまざまな分野で活躍した人物であり、政治家で、外交官でもあった。微分積分と聞いたら数学が苦手であった人間は嫌な顔をしてしまうが、その方法を確立したのもライプニッツであった。そのような彼の学問の中で、私は哲学、特に「モナドロジー」という著書を研究した。その中でも「共可能性」という概念が、私の心をとらえて、現在に至るまで影響を与え続けている。
随筆

カミを見る

「見える化」。ビジネス書でよく目にする言葉である。やらなければならないタスクや頭の中にある不安など、仕事や人間関係に渡る広い範囲で、問題解決のために使われる方法だ。具体的な作業は簡単だ。文字通り目に見えるように書き出す。
随筆

詩に憧れている。詩についてなにも知らないし、読んでもわからない。一体何なのかを説明することもできない。でも、憧れて求める気持ちがずっとある。モーニングページで毎日文章を書くようになった今、また詩への憧れが激しくなってきた。 一番にあげる詩人...
随筆

モーニングページの変化

 モーニングページをずっと書いている。朝起きて一番に、頭の中にあることをすべて書き出す、これがモーニングページだ。誰に読ませるわけでもないので、何を書いてもいい。むしろ読ませてはいけないそうだ。例えて言うなら、頭の中の掃除だ。部屋の掃除をするときは、とにかくいちど部屋の中のものをすべて出してみると、綺麗に掃除できて整理整頓ができる。それと同じように、頭の中を綺麗にする感覚だ。朝一番でするので、その日1日中、気持ちよいまま過ごすことができる。1年以上続けているが、ほとんど気持ちよい日を過ごしている。モーニングページのおかげだと思っている。
随筆

柄谷行人の「交換モデルX」における宗教と科学についての随想

台湾行政院デジタル担当政務委員のオードリー・タン氏の著書に気になる言葉があった。「交換モデルX」。どんなものかは全く想像がつかなかったが、興味が惹かれた。というのもオードリー・タン氏の著書は刺激的で示唆に富んだ内容であったからだ。  台湾に...
随筆

新聞

最近になって、新聞を購読し始めた。きっかけは、行きつけの美容師さんとの会話だ。なんの話をしていた時か忘れてしまったが、「私のお客さんで税理士の人がいるんですけど、その人は毎朝5時に起きて、日本の新聞5紙と海外の新聞もいくつか目を通すんですっ...
随筆

盆栽

僕は盆栽初心者である。小さな盆栽を買ってきては、眺めてニヤニヤしている。盆栽が元気になれば僕も元気になり、元気がなくなれば僕も枯れてしまう。一喜一憂し、盆栽に振り回されているヒヨっ子盆栽愛好家なのである。
随筆

神社が重要な理由

とある仕事関係の業者の方からこんな質問をされた。「僕ら、神社さんと仕事させてもらって、神社のことを大切に思って、守っていくお手伝いをさせていただいてますけど、そもそも、なんで神社を守らないといけないんでしょうかね。もちろん、守りたいと思って...
随筆

モーニングページから随筆へ

 頭の中にあるものを書き出したモーニングページ、それらに筋をつけて随筆となり、他者と対話したりすることによって考えは成熟し完成していく。そしてまた、声に出すことにより、他者の心へと届き、影響を与える。さらに神に捧げる祈りともなる。ふとした独り言のようなモーニングページが、芸術になり、そして宗教になる。少し大げさだが、このように考えた。そして思いついたのは、この事は「お茶を飲む」という俗事を同じように芸術、宗教にまで高めたものである茶道と、アナロジーになる可能性を秘めてはいないだろうか。欧米に茶道を広めた明治時代の思想家、岡倉天心は、その著書「茶の本」の中で茶道をつぎのように言い表している。「茶道は日常生活の俗事の中に存する美しきものを崇拝することに基づく一種の儀式であって、(中略)茶道の要義は『不完全なもの』を崇拝するにある。」独り言のようなモーニングページという俗事の「不完全なもの」が、どんどん洗練されて芸術や宗教になっていく。そんなふうになればいいと、望みを高く持った。不安はぬぐえないが、とにかく進んでみる。言葉にまつわるものが筆から流れ出た。